2019年6月1日発売のBE LOVE 7月号に連載中の『昭和ファンファーレ』第35話!
昭和初期、人々を魅了する一人の歌姫がいた──。ある日、少女・小夜子(さよこ)は河原で謎めいた男性と出会い、彼に「父親」の幻想を抱く。
いつの日か、彼に声が届くように少女は歌い続けることを決意するのだが!?
単行本も大人気で、現在6巻まで発売されていますよ。
今回は最新第35話、いよいよ最終話を迎える『昭和ファンファーレ』のネタバレ、感想をまとめました。
昭和ファンファーレ【第35話】最終回のネタバレ
「え、協力?」
「ああ、あんたがヤミまがいのことでやりくりしてんだって?俺も協力してやるよ」
戦地から帰ってきた天良は、小夜子らの家に身を寄せていた。
「何言ってるの?天良には映画の仕事があるでしょう!」
「これ、顔にこんな傷あっちゃあ映画俳優なんざやっちゃいられねえさ。それに今ァちっとそういう気になれねぇんだ」
――天良…その顔の傷はなんでできたんだろう…何かつらいことがきっとあった。天良は隠すから…痛みを全部あたしが背負えればいいのに…。
ある日小夜子が出かけから帰ると、道で子どもたちに劇を見せている天良を見かける。
「やっぱり天良は役者に戻るべきだと思うな。だって好きでしょう?演じるの。顔の傷のせいでできる役が限られたとしても、天良には星がある。天良の天地はキネマにあるよ」
「それを言うならあんただって歌が運命だろ。…待ってるぜ、みんな。俺も。澄み渡るようなあんたの歌をさ」
小夜子が家に帰ると、母が外で待ち構えていた。
「ああっ小夜子!帰ったのね!今、静代さんが玄関に…!」
小夜子が向かうと、そこには静代と一人の男性がいた。
「浅海と同じ部隊だったそうよ。遺品を届けてきてくださったの」
「もっと早くお届けしたかったんですが、なかなか復員できず。時間がだいぶ経ってしまいました」
「そうですか…」
「本当に偶然というか、奇跡としか言いようがないんですが。船から退避する時、兵の一人が海堂の荷物を自分のと間違えて持ち出しまして…私が預かることになったんです。自分は小夜子さんが『生き別れの妹』なんかではないことを知ってましたし…どうぞこれを。すべてあなたに宛てたものです」
そう言って差し出したのは、手紙の束であった。
「暇さえあればどこででもどんな時も書いていたものです。それを書いてる時の海堂はいつも幸せそうでした」
小夜子がその手紙の束をそっと開く。
それは、何枚も、何枚にも書かれた、あたしのための楽曲だった…
「浅海…っ」
『約束したろ、俺の作った曲を…お前が歌うんだ…』
譜面を握りしめ、泣き崩れる小夜子。
「浅海、浅海、浅海…」
――約束を、誓いを、忘れてはいなかった。
いつだって、幼い頃のあの約束を果たすために。
手紙を胸に抱えたまま、街へとあるき出す小夜子。
――風が気持ちいい。風が通る。
どんなときも歌うのが好きだった。
『歌え、小夜子』
…声が…する…
目に涙を浮かべ、胸には手紙を抱え、小夜子は歌い出す。
――頭にある、悲しいときにも、悔しいときにも、嬉しいときにも
明日を築く歌を――
数年後。華麗な衣装を来て、大きなステージで美しい歌を響かせる小夜子がそこにはいた。
「おいで、明音。
開幕のトランペット。走り出すピアノの旋律。はずむように、流れるように。軽やかに揺れるスウィング。これは、明日の歌。
愛の歌。この曲を作ったのはね。
あなたの お父さん」
昭和ファンファーレ【第35話】最終話を読んだ感想
以上、最終話となる第35話のネタバレでした!
今回で最終回を迎えた「昭和ファンファーレ」。
友人によって届けられた浅海の遺品は、小夜子に再び歌うことを届けてくれました。
浅海が作った愛の歌をステージで華麗に披露する小夜子。再び歌に向き合うことができて本当に良かったですね。
リカチ先生の新連載は初秋を予定しているとのことです。次回の作品も楽しみですね。