2019年5月1日発売のBE LOVE 6月号に連載中の『昭和ファンファーレ』第34話!
昭和初期、人々を魅了する一人の歌姫がいた──。
ある日、少女・小夜子(さよこ)は河原で謎めいた男性と出会い、彼に「父親」の幻想を抱く。
いつの日か、彼に声が届くように少女は歌い続けることを決意するのだが!?
単行本も大人気で、現在6巻まで発売されていますよ。
今回は第34話の『昭和ファンファーレ』のネタバレ、感想をまとめました。
昭和ファンファーレ【第34話】のネタバレ
浅海の子を妊娠した小夜子は、自分に家族ができることを喜び、浅海の帰りを待ちわびていた。だが、ようやく戦争が終わり、これからという時に浅海の戦死の報せが小夜子に届き…!?
――戦死?三ヶ月も前…?嘘でしょう?何かの間違いでしょう?だって、戦争は終わったのに……
あれからもうずっと海の底にいるみたいな気がしてる。音もなく、人も遠く、感じる全てが重い。何も考えられず、ただ生きるために生きている。
日本に滞在する進駐軍のためにステージでジャズを歌うことになった小夜子。店には体格の良い米兵達が多く来ていた。
「あの中に浅海を―――した人もいるんだろうか」
――嵐のような爆撃だった。家を焼かれ街を焼かれ、この人達に…歌えない!歌えない…!
ステージに上るもピアノの音で浅海を思い出し、歌えなくなってしまった小夜子。
――なぜだかわかった。浅海はもう帰ってこない。
いかに ひさしき ものとかは しる――
「ごめんね、月子ちゃん。あたし少しも分かってなかった。ごめんね…」
「…月子は小夜子と小夜子のかかとの暮らしがわりと気に入ってるから、一緒にいてあげる。今はここで冬越ししたら、月子の家で」
――月子ちゃんもお母ちゃんも優しくて、また泣きたくなる。想うのはよそう。考えるのはよそう。蓋をしよう。忘れよう。今はただ、この子のためだけを考えて、生きなきゃ…
――ふぎゃぁ、ふぎゃぁ…
「元気な女の子ですよ」
「小夜子、頑張ったわね…」
――これが、あたしと浅海の…がんばろう、この子のために、強くなろう。前だけを向いて。
「お母ちゃん、ただいま!いい子にしてた?」
「おとなしいものよ。小夜子、またそんなにいっぱい買って…」
「売りに行くんだもの。少し手を加えて、利益が出るように売りに行くのよ」
「…小夜子、歌の仕事はだめなの?歌手なら子持ちも関係ないし…」
「ムリなの。そうじゃなくて…歌えないの…」
――歌は浅海と共に見た夢だから、歌ったらまた想ってしまう。もういないって叶わないって、何度も何度も、歌う度に思うことになる。歌は浅海と共に消えた夢。
「大丈夫!お金稼ぐの生きがいだし!…この子がいるもの。大丈夫」
それからいくつか時が経ったある日。
「月子ちゃん、行ってらっしゃい。ほら、明音も、行ってらっしゃいって」
「…あ…あれ、玄関のとこ」
「え?あたし?」
月子に促され玄関の外に出ると、そこには一人の男性が立っていた。
「ここにいるって聞いてさあ。よお、元気そうだなあ」
――天…良……生きて…
「なあんだか、ガキんちょみてェな顔してらァ。先に撮影所行ってさ、色々聞いたぜ?まさか赤ん坊産んでるとはなァ。どんな早技だよ、あの坊っちゃん。あんたもう“お母ちゃん”なんだなァ」
――おかしいな。言葉がなんだか出てこない。天良だって死んでると思ってた。苦境の波よ押し寄せろ、何が来てももういい。そう思って、だから必死で、必死で…
「どうしたァ?その顔。ああ、あんた、ずいぶん気張ってたんだなァ~、よし、肩の力、ぬけ!帰ってきたぜぇ?」
「…よかった、本当に…」
――あたしは、すこしだけ救われた気がするのです
昭和ファンファーレ【第34話】を読んだ感想
以上、第34話のネタバレでした!
突然の浅海の戦死の報せに言葉が出ない小夜子。歌も歌えなくなってしまいました。浅海への想いに蓋をして、お腹の中の子どものために生きていくことを決意します。
無事に出産し、かわいい明音ちゃんが誕生しましたね。そんな時、まさかの天良の帰還。ずっと気を張っていた小夜子はようやく涙をながすことができました。
次回は、感動のフィナーレを迎えます。
次回最新話が掲載されるBE LOVE7月号は2019年6月1日発売予定です。お楽しみに!